特定秘密保護法 (1)


 たいへんな法律が通ってしまった...。


○ この法律の問題点

 まずは、この法律の問題点を端的に挙げよう。

     
  • 戦争に関わる決定などに関して、非常に重要な情報が国民に知らされないまま、重大なことが決まっていってしまう可能性が高い。
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  • 秘密を、60年間も秘密にできるのでは、秘密が開示される頃には、秘密に関わった人々は既に亡くなっている。後で秘密が不当であることがわかっても、もう彼らは追求されることもない。こんなに長い間秘密にできるのでは、彼らが不当な秘密を作ることを抑制できない。
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  • 秘密の中身をチェックする第三者機関が存在しない。総理大臣が第三者機関、などというのは、全く話にもならない。これほど厚かましい詭弁があろうか。
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  • 政権が、この法律を使い、適当に理由をこじつけて、政権に批判的な人々を逮捕するような社会がやってくる可能性がある。
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  • 秘密保護法で逮捕された人々が裁判にかけられることになっても、政府は、秘密の内容を明かさなくてよいことになっている。裁判官すら、その内容を知ることはできない。こんな状態で裁判をすれば、政権が気に入らない人々を不当に逮捕しても、まともな裁判ができない可能性も高い。

 以上の問題はいずれも大問題だが、これらのうちから、この法律に関して自分が特に懸念している二つの点について論じよう。


○ 政権は、重大なことをやりたい放題に...

 この法律の一つの重大な問題点は、強引に理屈をつければ、ほとんどあらゆることを半永久的に秘密にできるため、国民が状況を全く知ることができないまま、政府は安心してやりたい放題になってしまう可能性があることである。

 例えば、イラクは、大量破壊兵器を持っていないと知っていながら、大量破壊兵器を持っていると言い張って、アメリカのイラク戦争に協力することもできる。国民から、イラクが大量破壊兵器を持っている証拠を示せと言われても、それは外交・防衛・テロに関わる秘密だから明かせないと言ってそれを示さず、でも、大量破壊兵器を持っているのだから戦争をするのだ、と主張できてしまう。そして、実は、その時点で、イラクは大量破壊兵器を持っていなかったと知っていたとしても、その事実は60年まで秘密にでき、その後も秘密にしようと思えばできてしまう。さらに、その秘密を途中で破棄してしまうこともできるらしいことも聞いた。
 むちゃくちゃである。

 こうした例は、いくらでも考えられる。
 例えば、日本には非核三原則があり、日本に核を持ち込むことはできないことになっているが、そのためには、核を持ち込んでいないことを政府が保証してくれないと困る。しかし、米軍が日本に核を持ち込んでいることを政府が知っていたとしても、この法律があれば、外交・防衛に関わるからと言って公開しないことができてしまうだろう。こうした重要なことが60年も秘密にされるなら、政府はこうした嘘を平気でつけるだろうし、秘密が破棄されてしまったりしたら、国民は国の一番重要なことを知ることができないままになってしまう。


特定秘密保護法 (2)に続く!



光太
公開 2014年3月21日

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