○ 早急にとるべき対策
では、少子化、高齢化に伴うこの日本の財政破たんを避けるためには何をやっていけばいいのだろうか?
以下に、日本の破滅を回避するためにやっていくべきことを挙げる。
○消費税は、早急に最低15%程度に上げる。もちろん、苦しいことだが、恐ろしい将来を考えたら、そんなことは言っていられないだろう。ヨーロッパ諸国は、消費税が20%以上の国も多く、税金がかなり低く抑えられている日本が非常に特殊である。日本は高齢者の割合が高いのだから、ヨーロッパ諸国より税率が高くないと本来財政は成り立たないだろう。消費税は、若者にだけ過重な負担がいくのではなく、高齢者にも応分の負担として払ってもらえる税金であることも、消費税を上げるべき理由の一つである。
○子どもを育ててもらうことは、日本にとってとにかく重要なことであるから、子どもを持つ家庭の負担を少しでも和らげるため、子ども手当に類するもの(もちろん、名前は、子ども手当でも児童手当でも何でもよい。名前など、全く重要ではない。)は維持する。そのための費用は、全国民から徴収(消費税の1.5%分は、子ども手当に当てるなどもよいだろう。)。子どもを育てている家庭は、将来日本を支えてくれる大切な人たちを育ててくれている。その子どもたちの存在はとにかく重要である。子どもを育てていない人は大いに感謝して、当然、金銭的支援をみんなでするべきだろう。(もちろん、お金を集めずに子ども手当を支給だけするなどというのは絶対やってはいけない。子ども手当の増額もよいと思うが、当然、まずその分のお金を集めなければ決して増額してはいけない。)
○フランスで採用されているような、結婚していないカップルにも、結婚しているカップル並みの扱いを保障する制度を導入する。フランスでは、この非婚カップルから生まれる子どもが、ほぼ半数に達している。結婚していようがいまいが、子どもを産んでくれるなら、日本を救ってくれることになるのだから、非常にありがたいことである。家族の伝統が壊れるなどとのんきなことを言っていられる状況ではないのだ。超高齢化により日本が破たんし、人々が貧困のどん底に突き落とされ、社会が荒廃すれば、家族の伝統が壊れるどころの話ではない。
○定年は70歳にし、年金支給の開始は、それより後にする。年金を膨大な税金で補わなければならないのはたいへんなので、こうしたことは避けられない。今の70歳は、比較的健康・元気で意欲もあり、昔の55歳くらいに当たるだろう。定年をのばすのは自然だし、フランスもイタリアもアメリカも、最近、実際に定年をのばしている。昔は70歳くらいで人々は亡くなっていたから、60歳で定年を迎えても、働かないで年金をもらって暮らす期間は短かった。しかし、90歳くらいまで生きる人も多い現代、60歳で定年を迎えた後、まだまだ元気で普通に働けるのにもかかわらず、30年間も働かずにお金をもらって生きるという社会システムが、成り立つはずはないだろう。
○徹底的に成長産業に投資する。海外に輸出でき、日本を支えてくれる製品をとにかく作っていかなくてはならない。そういう産業ができれば、雇用も発生してくる。投資効果のない農家の所得保障などにお金を使っている場合ではない。
○ベンチャーは新しい産業をもたらしてくれる重要なものである。ベンチャーを育てるための規制緩和を徹底して行う。また、多くの人がベンチャーを起こせるようにするため、ベンチャーが多少失敗しても大丈夫なように、支援制度を拡充する。(支援制度については、もちろん、支援額と、そこから得られる経済効果をよく考えて、制度設計する必要がある。)
○日本の科学技術力が、日本の生命線である。理数系科目により力を入れ、科学教育をきちんと行い、将来の優れた技術者をしっかり育てる。社会や国語や体育の授業時間がその分減っても、もはややむをえない。基礎学力はきちんとつけるため、しっかり競争させることも大事だろう。
○日本人は、英語が不得意である。だが、英語は、ビジネスにおいても非常に大事である。また、日本を担う研究者・技術者たちにとっても英語は非常に重要だが、研究者たちも英語が苦手で非常に苦労している。海外の学会などでは、欧米の人たちが談笑する中、日本人だけが満足に話ができない。これでは、共同研究などの機会も少なくなる。また、英語の勉強のために、研究にかけられるはずの時間をかなりとられている。論文を書くスピードは遅く、英文チェックなどにもかなりの時間がかかり、せっかくの成果を発表するまでに時間がかかる。こんなことでペナルティが課せられ、競争力をそがれるのはもったいないことこの上ない。これらの大きな損失を解消するため、英語は、第二公用語にして、誰でも普通に話せるようにする。まず、美しい日本語を、などと言っている余裕はもはやない。日本が破産したら、美しい日本語も何もなくなるのだ。むしろ、第一公用語にするくらいの覚悟が必要。
○外国の優秀な科学者・技術者に、日本に来て研究・開発をしてもらえる体制を整える。彼らには高額な給料を保証する。ここで高額な給料を保証しても、将来の日本に莫大な利益をもたらす期待値が大きいなら、トータルとして圧倒的に日本の得になるので、どんどんやるべきである。アメリカは、優秀な科学者・研究者を世界中から集めることで、多くの技術においていつも最先端にいる。アメリカに住む優秀な研究者のかなりの割合を、外国人研究者が占めている。優秀な研究者の獲得において、アメリカに負けてはいけない。
○原発は維持せざるを得ないだろう。やめる方向にすると、電気料金が大幅に上がり、企業活動を妨げ、国際競争力をなくす。高額な電気料金のため、企業が電気料金の安い海外にどんどん出ていってしまったりしたら、多くの失業が生まれる。どんなに安全対策をしっかりしようとも、原発に事故のリスクが伴うのはもちろんだが、日本の将来の経済的リスクは、それを遙かに上回るだろう。福島原発事故において、放射能や水素爆発などの影響で亡くなった人の数は0人である。事故関連で数名の自殺者が出たのはたいへん悲しいことであるが、日本では、現在でも年間3万人の自殺者がいて、失業や経済的理由で自殺している人も、このうちのかなりの割合に上る。また、将来の日本の破産時における自殺者の数は予想もつかない。日本が破産したとき、餓死者まで出る事態になるかどうかはわからないが、このまま日本が崩壊に向かえば、少なくとも、貧困のため、病院に行けず亡くなる人は多く出るだろう。原発をやめることが雇用をどれくらい失わせ、日本の破産をどれくらい促進するかはしっかりとした試算が必要だが、原発を続けるリスクとやめるリスクの大小を冷静に考えるべきである。
○外国人の移民の受け入れを始める。外国人が日本に住み始めれば、日本で消費活動をするし、税金も払ってくれる。将来の危機的な日本になってからでは外国人は日本などには来てくれなくなるだろう。まだ日本に魅力がある今のうちに、どんどん日本に来てもらうべきであろう。また、日本では移民関係の法整備もないため早急に検討を始めるべきである。日本は移民社会ではないが、急激に習慣が変わると人々がついていけない可能性もあるので、順次受け入れを始め、移民との共存社会に次第にならしていく必要がある。
以上、いくつかの項目を挙げたが、これらは、どれかをやればいいというのではなく、これくらいのことは最低全部やらないと、とても間に合わないだろう。各項目について、各々、好き嫌いもあろうが、もはやそんなことを言っていられる状況ではない。
これまで、政治家たちは、増税が国民の反発を招くことを恐れ、将来の世代に対する借金をどんどんしてきた。我々にもそういう政治家たちを選んできてしまった責任がある。借金をさらに重ねるのではなく、財政を今のうちに少しでも立て直し、日本の産業を強くしていくしか日本の未来はないのだ。
これらのいくつかは、もちろん国民生活を厳しいものにするし、痛みも伴う。
だが、今のままいけば確実にやってくる日本の崩壊を避け、日本が将来にわたってしっかりと持続できるなら、ほぼ全ての日本人にとって、その方がはるかに幸せなことだと思う。そして、その安心感があれば、今の痛みは我慢できるものだと思う。
本批評で述べてきたように、日本の少子化からは、もはや決して逃れられない。
だが、日本を破産させるわけにはいかない。日本が破滅したら海外に行けばいいと思っているかもしれないが、そのときには、海外に行こうにも、膨大な人数の日本の経済難民を受け入れてくれる国などない。高齢者は年金を一銭ももらえなくなり、多くの人の貯金は、円の暴落のために価値はほとんど0になるかもしれない。こうなると、不景気だ、とかなんとかいうレベルではなく、多くの人が路頭に迷い、命に関わる事態となろう。
これは絶対に避けなければならない。
将来を考えないようにして、目を背け、どうせ日本は破滅するから、とわかりきったようなことを言って何もしないでいたら、本当にたいへんな事態になるのだ。
そのためには、多少苦しくても、上で挙げたようなことは全てやっていくしかない。
政治家もマスコミも、この重大な危機を正面から訴えてこなかった。このたいへんな危機が迫っていることは、ちょっと調べればすぐにわかることである。もし政治家が本当にこれらを知らなかったとすれば、そういう政治家はあまりにも無知であり、日本の政治を担う資格は全くない。マスコミが知らなかったとすれば、この程度のことすら取材できていないマスコミは、情報収集能力はゼロに近いわけだから、ジャーナリズムに関わる資格はない。
そして、もし、これらを知っていながら、選挙で投票してもらえなくなるのを恐れて、また、視聴者から反発を受けるのを恐れて、増税反対だ、減税だ、などと国民受けするようなことを言っているとすれば、無責任にもほどがある。増税の前にやることがある、などと言っているマスコミもあるが、今の赤字や借金の額は、無駄遣いを削減するなどという場合の金額とは桁が全く異なるのである。
政治家、そしてマスコミは、本当に日本のことを考えるなら、このたいへんな事態を、いますぐに責任を持ってきっちり国民に向かって説明するべきである。そして、国民に負担をお願いし、理解を求めることから絶対に逃げてはいけない。
もう一刻の余裕もない。
(完)
光太
公開 2011年7月30日