「表参道高校合唱部」 (TBS) 芳根京子 (主演) 2015年
評価: 98点
このドラマは、合唱が本当にすばらしい。
途中途中で挿入される合唱シーンも、エピソードごとの最後の盛り上がる合唱シーンも。
ドラマのストーリー自体はまあまあであり、それほど優れたストーリーというわけでもない。
感動させようという意図がありありで、展開がある程度予測できる、と言えなくもないだろう。そして、悪役たちが、あまりにも簡単に態度を豹変させ、いい人になることも多い。普通のドラマなら、散々に批判しているところである。
例えば、キャバクラ嬢の写真を学校内にたくさん飾っていても何も注意されない教員、部員たちがやる気があるにも関わらず、意味もなく合唱部をつぶそうとしてくる教頭、そのおかしな教頭を注意しない校長、意味もなくやる気のない副顧問、真琴をいじめていたのにいきなりいい人間になる優里亞、...。それから、校長が、夫が亡くなった後、歌を歌わないと決めていたのも不自然だし、クラスであんなに楽しそうにしていて人数も多くなり、まさにリア充な感じの合唱部メンバーたちが「圏外」というのもおかしい。真琴の母親は、真琴の父親を嫌いになったわけでもないのに、夫のどこが問題なのかをダイレクトに伝えずに離婚しようとしているのもおかしい。
しかし、このドラマは、そういう点はあっても、合唱が効果的に挿入され、ものすごく感動するために、そういう点さえも許されてしまう。むしろ、いつも、この光太の批評では徹底的に論じている、上のような不自然なポイントを挙げつらうことすらはばかられる。
学校の発表会で歌う「Over Drive」、引きこもりの部員の家の前で歌う「翼をください」、野球部員の応援で歌う「Tomorrow」、優里亞の前で歌う「Train Train」、校長の前で歌う「心の瞳」、快人に回復してほしいことを願って歌う「ハナミズキ」...。
第4,8,9話は自分的にはそれほどでもなかったが、それ以外は本当に感動的で、自分は、ほとんどの回で、かなり泣いた。
最終話は、本当に何度も泣いた。
○ 真琴
主人公、真琴の前向きな性格もかなり魅力的だ。
イヤなことがあっても落ち込んだりしないし、いつも元気でみんなを励まし、前向きに生きている。
あまりにもいい子すぎるが、こんな子が周りにいたらなあと思う。
多くの人が、真琴を好きになったと思う。
○ 本当に歌ってる
朝日新聞のテレビ欄のコラムに、ドラマの「表参道高校合唱部」は、本当に出演者たちが歌っているのか、という問い合わせに対する回答が載っていた。
それによれば、出演者たちが全て本当に歌っているということであった。
アカペラであれだけ歌えるとは、本当にすごい。
そもそもシンガーなら歌えるだろうが、出演者たちは、俳優・女優なのであって、本来、必ずしも歌がうまいとは限らない。しかも、伴奏のないアカペラは、かなりの音楽的素養を必要とする。
オーディションをかなりちゃんと行ったらしいが、出演者たちが本当に歌っているのは、本当にすごいことだと思う。
○ 視聴率
自分は、このドラマは、2,3年に一回出るかどうかのかなり優れたドラマだと思う。
しかし、なぜ、こんなに視聴率が低かったのだろう?
自分には、それが全く理解できない。
「家政婦のミタ」よりよっぽどいいと思ったし、種類は違うが、「華麗なる一族」や「半沢直樹」、「下町ロケット」などに勝るとも劣らないドラマだと思う。それらと同等の視聴率をとってもいいと思うのだが...。
多くの人は、合唱のハーモニーを聞いてもあまり感動しないのだろうか?
自分はものすごく感動するのだが...。
自分のドラマの好みが一般的だとは全然思わないが、このドラマのよさは結構多くの人たちが共有していると思ったのだが、そうではないらしい。
このドラマをそもそも知らない人が多いのだろうか?
このドラマを一度見た人は好きになるんじゃないかと思うのだが...。
自分は、何人もの周りの人たちにこのドラマを薦めた。見てくれた人の中には、本当に感動し、このドラマを教えてもらったことにものすごく感謝してくれた人も多い。
とにかく、多くの人に一度見てほしいと心から思う。
そして、視聴率からすると難しいかもしれないが、ぜひ、ぜひ、第二弾をお願いしたい。
(完)
光太
公開 2016年2月21日