「ドラえもん 映画シリーズ」 藤子不二雄 1980-
評価: 94点
ドラえもんの映画シリーズは、本当にすばらしい。
まさに、友情と勇気と感動の物語である。
いつもと違う実に勇敢なのび太や、いつもと違ってのび太をいじめたりしない頼もしいジャイアンなど、映画のキャラクター設定は、普段のキャラクターとはかなり違うが、それも映画をいいものにしている。
だいたい、映画通ぶって、洋画が好き、などと言っている人々がいるが、ドラえもんの映画シリーズを観てから言っているのか?
わけもわかっていないのに高尚ぶるのはやめてもらいたいものである。
実際には、数多くの洋画の中で、ドラえもんの映画を越えるものは1%もないだろう。
○ 新・のび太の大魔境 (2014年)
「のび太の大魔境」は、ずーっと昔の映画であり、子どもの頃に観た。
当時、ものすごくわくわくしながら観たのを覚えている。
この「新・のび太の大魔境」は、ほぼ同じ内容である。
やはりおもしろい。
まず、アフリカの奥地という設定がいい。
アフリカの動物たちがたくさん描かれており、子どもたちはもちろん、子どもでなくても、観ていてわくわくする。
何度も登場する犬の巨身像は、子どもの頃には、すごく怖いものに思えた。この映像が映画に重厚感を与えている。
そして、感動の場面は、ずっと黙っていたジャイアンが、ペコを助けるために、ペコと行動することを選ぶ場面である。映画シリーズのジャイアンはいつも頼もしい。
また、もう一つの涙なくして見られない場面は、最後のペコとの別れの場面である。のび太が公園でペコを見かけてから、一緒に冒険をし、ペコの国を助けるために一緒に戦ってきたのに、別れなければならないつらさは、本当に大きい。子どもにとっては、この上ないつらさに感じられるだろう。
○ 最後に
アニメ映画として、ジブリ映画がよく評価の対象に挙がる。
しかし、自信を持って言うが、自分は、ジブリ映画なんかより、ドラえもんの映画シリーズの方が、はるかに上だと思う。
人々は恥ずかしくて言わないのか何なのか知らないが、ドラえもんの映画シリーズは、もっと素直に評価されていいと思う。
わくわくドキドキする冒険があり、友情と勇気にあふれ、ストーリー展開に違和感を持つこともあまりなく、悪者は最後にはやっつけられ、感動の別れを迎える。
単純でシンプルだが、確実な感動が得られる。
海外の映画祭のアニメ部門で、ストーリーに破綻をきたしたジブリ映画ではなく、大きな感動を与えてくれるドラえもんの映画が、いつか大賞を受賞することを願っている。
(完)
光太
公開 2015年5月7日